第1回
すでにWEBでもご紹介しているように、当事務所のクライアントの70%は外資系ですが、私がこの会計事務所を始める前にはトーマツで監査に従事し、その後米系投資銀行でM&A等に従事していました。トーマツ勤務時代に米国ウォートンスクールでMBAを取得する機会がありました。
現在でも外資系向け会計・税務の各種アドバイスに加え、M&Aの企業評価や、事業会社(株式会社日立製作所)で部長向けファイナンス講義を定期的に行っており折に触れて米国流ファイナンスの実務や教育に携わっています。
このような事情から、MBA取得後20年を経て現在の米国ファイナンス理論は変わったのか、我が国の金融が従来の銀行をメインとする間接金融制度から直接金融制度へ軸足を移していることや、最近話題となる、会社は誰のものか議論とも密接に関連していることもあり、常日頃から再度勉強したいと思っておりました。たまたま昨年7月にスタンフォード大学ビジネススクールでCFO向けファイナンスプログラム(FMP)が開講されることを知り、自己研鑽の機会ということで出席してきました。
授業のご紹介の前に、私が昨今の日本経済に対して抱く個人的感想を簡単に申し述べますと、ここ数年の商法を始めとする法制度が、従来より一層スピード感を増してアングロアメリカン型経済モデルの傾斜を深めていることに危惧感を覚えております。
経済界におけるこのような事態を最も象徴的に表しているキーワードが「株主主権資本主義」であることは周知のとおりです。
結論から言うと、私は、株式会社は株主の為だけにあるのではなく、そこで働く従業員に生きがいや目標を与え、ひいては社会に貢献するという社会的公器たる性格を持たなければ「株式会社」がこの社会に存在する意義はかなりの程度、いや、ほとんど意味がないのではないかとも思っています。その点からは、最近の、会社にとって最も価値のある人的資源たる従業員の存在を希薄化させ、株主の権利が絶対であるというアングロアメリカン的な資本主義の考え方は、わが国で生成・発展してきた株式会社制度にはなじまないものと思っています。東大の岩井先生や一ツ橋の伊丹先生が理論的な解明をされているところではありますが、実務の現場で働く米国のCFOに対して、株主主権資本主義の理論的支柱ともいえる米国ビジネススクールではこの問題をどのように教えているのかを自分の目と耳で確かめてみたいと思ったことも出席した大きな要因でした。ちなみにCOMPANYの語源はCUM PANIAというそうでこれはラテン語で「一緒にパンを食べる仲間」という意味だそうです。このことからも、もともと会社とは一緒に目的を実現するための共同体という性格を本源的に有していると考えられます。
次回は大学の講義についてご説明したいと思います。
