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永峰潤ブログ
永峰・三島会計事務所、かなり不定期な所長のブログ。

裁判員制度について

このことはもう沢山の人が書いていますが、新聞を読んだり周りの人(含む法曹関係者)の意見を聞いても、圧倒的に反対の人もしくは無関心の人が多いようです。

こういうときには、いつもならマスコミお得意の無作為抽出による%調査による賛成・反対の比率を出せばよいのに、今回は何故かそういう調査を見ることもないようで、どうも権力的な意向を感じてしまいます。

この制度自体、いつの間にか導入が決定され、導入に際してどのような審議が行われていたかがわかりません。導入決定がされた当時、知り合いの弁護士がこれは大変なことになると声高に言っていたのが思い出されます。

反対の理由として一番多いのは、日本の文化風土に合わない、一度導入されたのに廃止されたのがその証左でないか。仕事や家事その他、自分の生活に支障を来す。選ばれたとしても責任ある判断ができるかどうかわからない。そもそもそういう判断をするために裁判官がいるのではないか等々だと思います。

で、裁判員制度について調べてみますと、法務省ではなくて最高裁判所のホームページにこのことが詳しく書かれており、世論調査については以下が載っていました。

「裁判員制度に関する意識調査」結果 平成20年4月1日
1.  最高裁判所は,平成20年1月7日から2月4日にかけて全国で計1万500人(各地方裁判所の管轄区域ごとに210人)の20歳以上の方々を対象に,裁判員制度に関する認知度や参加意向等について正確に把握し,裁判員制度の円滑な実施に向けて活用するため,意識調査を行いました。
2.  その結果,裁判員制度について知っている方は94.5パーセントに達していること,「参加したい」「参加してもよい」という方のほか,「義務なら参加せざるを得ない」という方まで含めると,20代~60代の約65パーセントの方が参加意向を示していることが明らかとなりました。
 また,裁判員制度について知っている事項の数が多いほど,裁判に参加する場合の心配や支障が低く,参加意向も高いという関係がありました。
 調査によれば,裁判員制度についての情報を得たのは,圧倒的にテレビ,新聞を通じてのことが多いことが明らかになりました。
3.  調査結果を踏まえ,裁判員制度施行までの残り約1年間,引き続き,関係機関と協力し,また様々なメディアを通じて,国民の皆様の疑問や不安を解消する分かりやすい情報をお伝えしていくことが重要であると考えています。
「余り参加したくないが義務なら参加せざるを得ない。」というのが大勢であり、これを読み解くと国民は積極的には反対していないんだよ、だから制度の導入は問題なく進めますよという意思表明のようです。


私が読んだ限りでは、結局、最初から結果ありきの、この台詞を正当化するための調査かなと思いました。そもそも制度導入に際して責任ある立法や行政でなく司法がこういうアンケートすること自体が、くだんの、官僚の無謬性?と勘ぐってしまいます。

こういう消極的な賛成というのは国民大多数のスタンスであり、であるからこそ行政はこういう制度の導入に際して慎重を期すべきなのに、昨今はどうもこのような国民的特性につけ込むようにして、新しいしかも国民生活に重大な影響を及ぼすような事柄がいとも簡単に決められてしまうと嘆く人も多いと思います。

そもそも何で今の時期にこの制度が導入されたのか。その理由は何かについての責任者の回答を知りたかったのですが、これも同じく最高裁判所のHPに出ていました。以下が原文です。

これまでの裁判は,検察官や弁護士,裁判官という法律の専門家が中心となって行われてきました。丁寧で慎重な検討がされ,またその結果詳しい判決が書かれることによって高い評価を受けてきたと思っています。

しかし,その反面,専門的な正確さを重視する余り審理や判決が国民にとって理解しにくいものであったり,一部の事件とはいえ,審理に長期間を要する事件があったりして,そのため,刑事裁判は近寄りがたいという印象を与えてきた面もあったと考えられます。また,現在,多くの国では刑事裁判に直接国民が関わる制度が設けられており,国民の司法への理解を深める上で大きな役割を果たしています。

そこで,この度の司法制度改革の中で,国民の司法参加の制度の導入が検討され,裁判官と国民から選ばれた裁判員が,それぞれの知識経験を生かしつつ一緒に判断すること(これを「裁判員と裁判官の協働」と呼んでいます。)により,より国民の理解しやすい裁判を実現することができるとの考えのもとに裁判員制度が提案されたのです。

以上が公式見解ということでしょう。ここで言いたいことは二つあると思います。
① 司法が国民感情から離れる傾向が見られるので国民参加によって司法と国民との距離を狭めたい。
② 諸外国でもこの制度を導入している。

以下、私の所見です。まず②は諸外国でこの制度を導入していたら、何故日本でもこの制度を導入しなければならないのかの論理的な説明もなく、単なる付け足しの議論と思います。そもそも国毎の歴史、風土、倫理観や社会正義、経済、政治体制を反映して刑法罰が定められおり、それこそ団藤先生と平野先生との基本的な対立が影響を与えている日本の刑法体系の知識なしに今の国民感情で罰してねと言われても困惑するばかりです。こと経済事例と異なり刑法罰の場合はそのような国毎の価値判断が最も顕著に表れる事象ですから、諸外国云々に余り重きを置くことはこのケースに限っては余り意味がないのではと思います。

次に①です。実は今回このことを一番書きたかったのです。私の結論は上記方法(国民感情と乖離しないよう国民から裁判員を募る)は全くアプローチが逆だと思っています。

私の提案は、司法のように一般市民に大きな影響を与える職業に就く人は、その職業に就く前に必ず司法、行政、立法以外の職業に何年間か従事するように決めたらいいのではないかというものです。

職業選択の自由とかそういう議論が必ず出てくるでしょうが、私が思うのは、所謂プロフェッショナルの中でも法曹関係は法治国家の根幹を支えるとりわけ重要な職業であり、そういう職種が社会から隔絶された純粋培養で育つことが、昨今のような破廉恥もしくは非常識な裁判官を生む温床ともなり、なおかつ弾劾制度という格別に配慮された身分保証制度が問題をややこしくしているのではないかという点です。

東大法学部在学中にLECかどこかの予備校に通い司法試験に合格。その後裁判官に任官して出世の階段を登っていく。こういうコースの中で、例えば一般の会社員のような社会の構成員の経験をすることは皆無であるように思われます。

私自身の経験で言っても、弁護士も一旦社会経験を積んでから司法試験に合格した人の方が(今は激減しましたが)他人を睥睨するような感じがなくて、ホントにソフトタッチです。お医者さんも最近はちょっとへりくだりすぎかなと言うくらい普通感覚の医者が増えていると思います。

要は身分制度に守られてそこから出て行かなくても困らない、こういう制度自体は -公正普遍を旨とするような裁判官の場合- 必要でしょうが、せめてそういう制度に身を投じる前に2年でも3年でも社会経験を積んでおくことが、すこぶる重要だと思うわけです。

裁判官になってから社会経験を積むとなると派遣された会社との癒着とか色々難しいこともあるでしょうから、簡単には司法試験の受験資格に社会経験2年以上とかの項目を入れてみたらどうなのでしょうか。 実現可能性が低いだろうと書いているはなから思うのですが、米国のロースクールが入学資格に社会での勤務経験をマストとし、卒業後に弁護士資格自体がほぼ問題なく取れることを考えると、こういう制度もいいのではないかと思います。

現在の司法制度改革で法科大学院の入学資格をこうするだけでも、法律による規制ではなくて、緩やかに社会の是認を受けられる形で定着できるのではと思うわけです。
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【2008/04/16 12:12】 未分類 | トラックバック(0) |

フニクリ・フニクラ

長らく体調を崩しておりこの欄を休んでいました。読者の少なさでは人後に落ちないと思いますが、不定期たる由縁でぼちぼちと再開します。

「継続は力なり」とは我々の世代にとって代々木ゼミナールの教室に貼ってあったスローガンを思い出させるものですが、この言葉の含意を噛み締めながら、毎回大分なものを書こうとすると、どうしても身構えてしまいます。いやいや物書きではないのだからそんなに時間も使えないしとか考えると、これからは軽い雑記帳のようなものを交えながら続けていくことにします。

「フニクリ・フニクラ」

この言葉は例のイタリア民謡(題名失念)の歌詞で、日本人ならラジオ体操第1に匹敵するほど有名な言葉ですが、言葉の意味を知っている人はすごーく少ないと思います。かくゆう私も南アフリカのケープタウンに行くまでは知りませんでした。

5年位前ですが所属している会計士団体の世界会議がケープタウンで開催されたときの観光で、一行で何台ものバスをチャーターしてテーブルマウンテンかどこかに行きました。その時にバスガイドさんが「これからフニクリ・フニクラに乗ります。乗る人は挙手してくださーい。」とのたまう訳です。周りを見ると皆さんこの言葉の意味を分かっているようで、私もとりあえず多数に従おうということで、意味も分からず乗りますの方に手を上げたわけです。

で、フニクリ・フニクラ乗り場に到着しました。

あっと思いましたのは、これってケーブルカーのことだったのです。

Funicular 辞書では確かにケーブルカーと書いてありました。

この言葉、学校では全く習わなかったけど、バスの乗客はほとんど知っていたみたい。受験英語の実社会での役立たなさを私は改めて深く糾弾したい。責任者でてこい!
【2008/04/02 10:25】 未分類 | トラックバック(0) |

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