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永峰潤ブログ
永峰・三島会計事務所、かなり不定期な所長のブログ。

IFRSは従来の会計と一体何が異なっているのか 第2回

Q2 IFRSと従来の会計との違いについて教えてください。

 IFRSと従来の会計との違いを表す命題は、従来の会計が「過去志向型」、IFRSが「未来志向型」であることです。
 ではなぜ、そのように考えられるのでしょうか。 

 最も大きな相違点は、従来の会計は過去の事象を正確に記録することに主体がおかれていましたが、IFRSは未来の事象を記録するという点です。
 
未来志向型の意味するところは、見ている視点の方向が違うということにあります。これをわからずに「あれが変わった。ここが変わった。じゃあどうしよう」とマスコミで報道される細かな事象ばかりを追っていては、単に右往左往するだけになってしまいます。

 IFRS自体が確立されたものではなく、現在も改正を加えながら動いています。ですから、目先の細目だけを追いかけていると、覚えた頃にまた改正されて新しくなってしまいかねません。

 逆説的に言えば、視点のベクトルの方向が違うというキーワードさえ捉えていれば、後は演繹的に考えていけばいいと言えます。

Q3 従来の会計が「過去志向型」と言われる理由を教えてください。

 従来の会計が過去志向型と言われる理由を知るには、会計成立の歴史的背景を知ることが必要になります。
 従来の会計の原形は、15世紀のイタリア・ベネティア商人が用いた帳簿記録の方法に求められるとされています。つまり、会計の成立は、ベネティアの海洋国家成立と覇権確立に、多いに関係しているのです。
 ヨーロッパを旅行された方はご存知だと思いますが、牧草地に羊や山羊、牛が放牧される原風景がどこまでも続いているのが、ヨーロッパのイメージです。これは今も昔も変わりませんが、実はヨーロッパは土地が非常に不毛で、日本や東アジアの肥沃な土地と比べて、なかなか作物が育ちません。学生時代の世界史ではヨーロッパの「三圃式農業」が出て来ます。これは、ヨーロッパの土地が不毛なため、休耕地を設けて定期的に土地を休ませないと、土地が痩せ細ってしまうことから発達した農法です。12世紀頃から、ヨーロッパではこの休耕地を利用して、放牧がさかんに行われるようになりました。これは日本のようなアジア地域では、土地が肥沃であるために、雑草でも生育しすぎてしまい、もはや家畜が食べられなくなるほどに育ってしまうのに対して、ヨーロッパでは休耕地に生えた雑草が、家畜が食べるのに程よい生育状態となっていることからなのです。


 そしてヨーロッパの人々は放牧した家畜を食料とするようになりました。それが長じて冬場には家畜が増えすぎ、どう越冬させるかが問題になったのです。
 家畜を越冬させるためには、餌となる穀物が必要です。けれども、家畜が必要とする穀物を備蓄するエネルギー量と、屠殺するエネルギー量を比較すると、屠殺した方がエネルギー量が少なくてすむということが学習され、その結果、家畜は繁殖用だけ残し、後は屠殺することになりました。ブリューゲルの絵をみるとよくわかりますが、当時のヨーロッパ人は夏場は痩細り、冬場は家畜を食べるので太るという生活を繰り返していたのです。
 このように、繁殖用の家畜を除き、冬前には屠殺を行うことから必要となったのが、家畜の肉の保存方法でした。冷蔵庫もないこの時代、肉の保存方法としてポピュラーだったのが「塩蔵」、つまり塩漬けです。ところが、この肉の塩蔵は塩辛く臭みもあり、とても食べられたものではありません。
 
 では、その問題をどう解決してのか。それについては次回に説明します。
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【2010/08/26 11:44】 未分類 | トラックバック(0) |

IFRSは従来の会計と一体何が異なっているのか 第1回

今般、日経ヴェリタスに、IFRSに関する私のブログが掲載され、
又、10月頃に弊事務所監修のIFRS本が税務経理協会から刊行されます。
そこで、今回から数回に分けて、その本に掲載される私の執筆部分
「IFRSは従来の会計と一体何が異なっているのか」をブログで御紹介します。


 IFRSは、2010年3月期から、日本の上場企業の連結財務諸表への任意適用が認められ、金融庁のロードマップでは2012年に適用か否かの最終判断を下し、2015年から、アドプション(強制適用)という予定になっています。
 この「IFRS」導入が新聞、雑誌等でかしがましく叫ばれている昨今、記事を読んでは「何とかしなければまずい」と、そわそわ落着きを失っている方が大勢いらっしゃると思います。
 まず初めに、私がお伝えしたいのは「惑わされない事」です。
 IFRSに関しては様々に言われていますが、適応の最終判断は3年先で、細則はまだ決っていない状況です。出版社・新聞社、大手監査法人からそれぞれのノウハウ本が出されていますが、本質が何かを捉えなければ、メディアに躍らされるだけになってしまいます。また、もう一つ注意したいことは、日本の大手監査法人の視点は日本人の視点でありそうでいて、実は提携先であるビッグ4の視点、つまり米国側の視点であったりするということです。
 企業の財務会計を根底から変えなければいけないIFRSを、なぜ導入しなければならないのか。私たち日本人の意見は余り反映されずにアドプションされるのは何故なのか……考えれば考えるほどおかしな話です。
 IFRSがやって来るから大変だ、と騒ぐ前に、適応の最終判断まで時間がある今だからこそ、これまでの日本の会計基準やUSGAAP等と何が違っているのか、本質を捉えてみるべきではないでしょうか。
 IFRSの本質を理解する第一歩として、最初に昔と今とは何が違うのかという歴史的背景をひも解くことが重要です。そこでこれから、経済的な歴史の流れを追い、現在の実態を検証していきます。


Q1 IFRSを理解するための論点を教えてください。

 IFRSが生れ、世界的に定着しつつある歴史的・経済的背景を知るために、抑えるべき論点は、
以下の4つに集約されます。

(1) 従来の会計は過去指向型であるのに対して、IFRSは未来志向型である。

(2)IFRSは、今までの会計の枠組とは異なる、学問としてのファイナンスを基礎とした全く新しい会計(財務報告)の体系である。

(3)従来の会計では、その利用者は必ずしも特定されていなかったのに対し、IFRSは明確に「第一義的には投資家を対象としている」と定義づけている。この点が、IFRSが資本市場における投資家のために有用な情報提供をするための会計であるとされる所以である。(※1)
  ※1「IFRSの目的は、世界の一体化している資本市場に財務報告に関する共通の言語を提供することであり、それによって取引が世界中のどこで起ころうとも関係なく、最善の方法で処理することが可能になる」(2009年10月14日:IFRSシンポジウム(日本公認会計士協会主催於・経団連会館)のディビット・トゥイーディーIASB議長による基調講演より抜粋)

(4)従来の会計は取得原価主義と期間損益計算をキーワードとしていたのに対して、IFRSはDCF(ディスカウントキャッシュフロー)と時価主義がキーワードである。


ここで私が最も強調したいのは、従来の会計は過去志向型、IFRSは未来志向型という点です。
次回からそのように結論している理由を説明していきます。

【2010/08/19 16:00】 未分類 | トラックバック(0) |

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