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永峰潤ブログ
永峰・三島会計事務所、かなり不定期な所長のブログ。

IFRSは従来の会計と一体何が異なっているのか 第15回

Q20 改めてIFRSとは何かを教えてください。

 IFRSとは、資本市場の参加者に情報提供するための、ファイナンスを基礎概念とした全く新しいフレームワークによる財務報告基準です。
 この事は、まずIFRSというネーミング自体に表れています。
 IFRSは、2001年まではIAS(International Accounting Standard:国際会計基準)とネーミングされていました。しかし、それ以降はIFRS(International Financial Reporting Standard:国際財務報告基準)と呼ばれるようになり、そこから「会計」の文字は完全に消し去られているのです。
 まさに、IFRSは、もはや会計の枠組には捕われない、投資家のための情報体系であると、宣言をしているように思えます。
 ただし、日本では残念ながら未だに「国際会計基準」という、誤った訳語が使われています。既にご説明したように、IFRSを従来の会計の延長線上で捉えると全く間違った解釈になりますから、速やかに「会計」を「財務報告」に改めるべきでしょう。


「IFRSは、ファイナンシャル・ステートメントであり、ファイナンシャル・レポーティングである」

 すべては、この一言に尽きます。新聞等でいろいろな事象が書き立てられていますが、重要なのは、今までの会計とは異なり、ファイナンスと資本市場を基本に体系を作ろうとしているのが、IFRSだという事実です。この事さえ分かっていれば、個々の事象はそれに従って考えていけばいいだけで、改正点が発表されるたびに右往左往する必要はありません。

 今まで15回にわたりIFRSに関する私のコメントを書いてきました。最後までお読みいただいた方には改めてお礼申し上げます。
 尚、本コメントの感想をいただければ幸いです。
 感想をいただいた方の中から5名様に、私の感謝の意味を込めて新刊本(12月発刊予定)を進呈させて頂きます。

【応募方法】
「拍手」をクリックいただき、「コメント欄」に感想、お名前、住所、メールアドレスをご入力ください。
抽選で5名様にIFRS新刊本をプレゼント致します。
「コメント欄」は一般公開されません。
また、いただいた個人情報は今回のプレゼント送付目的のみで使用し、第三者に提供・開示は一切致しません。
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【2010/11/26 14:17】 未分類 | トラックバック(0) |

IFRSは従来の会計と一体何が異なっているのか 第14回

Q18 IFRSは直接金融による資金調達を行わない企業にも関係あるのですか。

 ここまで読まれた読者の中には、「従来の会計が役に立たないと言われているのは、直接金融における資金調達を主体とする企業であって、間接金融依存度合が強い企業やローカルに資金調達する企業には、必ずしも必要ないのではないか」と考えられる方がいらっしゃることでしょう。
 その考えは「正しい」のです。
 既にIFRSが導入されたヨーロッパや、直接金融制度の総本山であるアメリカで資金調達を行う日本企業の場合は、IFRSもしくは今までどおりUSGAAPを採用することは必須です。これは議論の余地はありません。
 しかしながら、3000社以上ある日本の上場企業のうち、この要件に当てはまるのは恐らく100社程度です。そうなると、残りの圧倒的多数の企業は、少なくとも理論的にはIFRSを導入しなければいけない理由は見当たらないように思えます。
 その点から言えば、今日のIFRSを採り入れなければ時代に乗り遅れる的な経済団体、会計業界、さらに一部マスコミの論調は、必ずしもIFRSの内容を吟味して発せられているようには思えません。

Q19 IFRSは、将来の価値に関する情報提供ツールということですか。

 その通りです。
 いままでの説明から明らかなように、将来の価値に関する情報については、もはや従来の会計学の体系では対応しきれません。
 実態としてはファイナンスという学問体系の中に今までの会計学が取り込まれているというのが、 IFRSが目指している会計の姿といえるでしょう。
 まとめとして最初にあげた命題に戻ると、従来の会計は過去志向型であり、そのキーワードは期間損益計算と取得原価主義なのに対して、IFRSは未来志向型であり、キーワードはDCFと時価主義である。このように言えるのです。






【2010/11/19 10:30】 未分類 | トラックバック(0) |

IFRSは従来の会計と一体何が異なっているのか 第13回

Q17 会計をファイナンスの中に部分的に取り込むIFRSの概念は、突然出て来たのですか。

 こうした流れは、地下水流のように10年20年かけて伏流となっていました。 その結果として、「将来の価値」を見据えた考え方は、実は既に会計学の中に織り込まれています。例えば退職給付会計や減損会計で採用されているDCFアプローチは、ファイナンスの考えを基礎としています。
 現時点の「従来の会計」においても、
  ◎取得原価主義に基づく今までの伝統的な会計と
  ◎ファイナンスを本籍地とする新しい会計とが
 混在する形で財務諸表が作成されているのです。
 500年前に作られたバランスシート、インカム・ステートメントという原価主義に基づいて作られた会計と、資本市場の圧力によって変わってきたファイナンスとのブリッジになる会計、この二つが混在しています。
 それならばIFRSでムーブアウトし、すべて将来の時価会計に持っていきたい……このような背景を元に、現在のIFRSへの流れが生まれてきたといえるでしょう。
 ただし、IFRSはイギリス主導の会計原則、一方、アメリカには既にUSGAAPという会計原則があリます。何故、IFRSがアメリカ型金融資本主義により直接結びついているのでしょう。実はIFRSとUSGAAPは両者のフレームワークの構成を見ると分かるように、根本的な思想(ファイナンスを機軸に時価主義を重視する)においては、大きな相違点はないともいえるのです。



【2010/11/12 15:05】 未分類 | トラックバック(0) |

IFRSは従来の会計と一体何が異なっているのか 第12回

Q16 ファイナンスから見た株価について教えてください。

 株価の決定には色々な理論がありますが、株価とは、会社の「将来の価値」を反映したものでなければならない、というのがファイナンスの考える株式価値理論の結論です。
 では、何を持って「将来の価値」を表すのでしょう。
その答えは、「会社が将来、稼得する可能性があるキャッシュ・フローの塊である」です。

会社はキャッシュ・フローの塊だから、それをどう処理するかという観点のみで、簡単に売買できるのです。そして、そのゲートキーパーがCFOです。
 CFOは、外からお金を借りてきて、ハードルゲートを設けて自社内のプロジェクトにお金を投入します。そうすることによって利鞘を稼ぐ事が会社の価値になり、そこでの会社の価値がキャッシュ・フローの塊で、それをもってして会社の株価を表すということです。
 こうしてファイナンス的なフレームワークの中で会計を位置付けたい、という流れが生まれてきたのです。
「投資家がいて、投資銀行がいて、キャッシュ・フローの塊議論があり、投資家と企業を結ぶアナリストがいる。そして、この参加者の役に立つ形で会計を再構築する。するとアメリカ的金融資本主義は、すべて綺麗に流れる」という話で、この形に会計のフレームワーク作りをしたいということなのです。

再論すれば、資本市場の参加者たる投資家が必要とするのは、将来のキャッシュ・フローを現時点の価値に引き直したキャッシュ・フローの塊たる株主価値であり、そのことは必然的に従来の過去の出来事を記録した財務諸表ではなく、未来についての情報を提供してくれるツールを必要とする事になるのです。
 これは、もはや従来の会計学の体系では対応できません。ファイナンスという学問体系に従属する形で、会計学を再構築する必要があるということなのです。つまり、このファイナンスという学問体系の中に、部分的に今までの会計学が取り込まれているのが、IFRSが目指している会計の正しい姿といえるでしょう。


【2010/11/05 13:18】 未分類 | トラックバック(0) |

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