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永峰潤ブログ
永峰・三島会計事務所、かなり不定期な所長のブログ。

(続)言葉と実体の逆転

前回、何故、こんなめんどくさい事を書いたかというと、最近、このことを思い出させる出来事があったからです。

日本にはビジネスパーソン向けの社会奉仕の実践を信条とする有名な親睦団体としてRとLという、ともにアメリカからやってきた団体があり、これらはともに現在、会員減少に苦しんでいますが、まぁまぁ続いております。

私も、縁あって、この団体に属しているのですが、最近、この地区大会というのが予定され、そこでの演題のテーマが「社会奉仕とは何かを考えよう」というものでした。

腰を抜かすほど驚きました!

各種の社会奉仕活動を行ってきて、その実体は既にわかっているとばかり思っていたのですが、いまさら、こういうことを、ややシニアな大人が集まって、ああでもない、こうでもないと議論することにどういう意味があるのか、私にはわかりませんでした。

どこそこのホテルでいくら集めて、この会をやりましょうとか、講師の方の経歴は云々とか、そういうことに多大な時間を費やしています。

この団体の主戦場でない、おそらくは会員の目に触れることとてない、このちっぽけなブログでこういうことを書くのは、まさに風呂場の女性に対する無関心層とおなじではないかと、少し卑怯な気もしますが、こと、この団体に関しては、絶対に意見は届かないでしょうから、勝手に気を取り直して、ここで私の考えを書きまと・・・・・

社会奉仕のごたく並べる暇があったら、東北の被災地に行って来い!なんでもいいから、現地の人のお役に立てることをやってこい。 そして、戻ってから、私のやったこと、というフリートーキングにすれば、おのずから社会奉仕とは何ぞやというような、無益な神学論争は沙汰やみになるのではないか。

ということです。



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【2011/08/15 10:18】 未分類 | トラックバック(0) |

言葉と実体の逆転

敬愛する日本の哲学者に森有正さんがいます。 もうだいぶ前に亡くなられたのですが、一貫して、わかりやすい言葉で「考えること」を説明しておられました。

記憶では、戦後間もなく東大で教えたのちフランスソルボンヌ大学に行き、長らく向こうで教えて、晩年には日本に戻ってこられました。

彼が徹頭徹尾、主張していたのは、日本語は、言葉の実体と、それにあてはめる言葉が乖離していることが間々あるということでした。

彼が挙げていた例は・・・・・フランスでは、第二次大戦末期にドイツに対する民間人の抗戦活動が活発化し
成果も上がったわけですが、そのような抗戦活動を続けるにつれて、この活動に名前をつける必要が出てき、その結果として、resistance という言葉が自然とつけられるようになった、ということです。

つまり、ここでは、まず行動の実体があって、その実体に対して、それを説明するものとして、言葉がそれに付随して生まれたという流れであり、そこには実体と言葉の乖離がないわけです(そもそも実体があって、その実体に
言葉があてはめられたわけですから)。

対するに、我が国では、実体なしに言葉だけが入ってくることが非常に多い、とりわけ外来語の場合にはその傾向が顕著だと、彼は言っています。

DEMOCRACY, ご存知のようにこの言葉は「民主主義」と訳されていますが、では、民主主義とは何かということは、日本人全てが実体としてその状態を経験した後、その実体に民主主義という言葉を冠したわけではなく、突然にアメリカから降ってわいたようにやってきた概念であるため、その中身がよくわからないわけです。当時の世評を反映した笑い話に、「DEMOCRACYとはなんだかわからないが、いいもんだ。 なぜなら敗戦後の暮らしぶりがだんだんと向上したので、「でも暮らしがいい」からいいんだ。」というのがあります。

このことは、現代の日本でもそんなに状況は変わっていないと見受けられます。我々が、民主主義の本質とは何なのかということを、きちんと自分の言葉で説明することは、今に至ってもすごく難しいのではないでしょうか。 

私自身の例で言うと、こういうことがありました。

もう10年以上前ですが、通っていたスポーツクラブがご夫婦単位で入会している人たちが多く、その中に偶々、自分勝手な行動をする奥さんがいました。

その奥さんの行動は、お風呂の洗い場を自分の知り合いだけで長い時間占拠してしまい、他の人が大変迷惑しているというものでした。 この人(会ったことないのですが)は社交的、かつ、男性の前ではおくびにもそういう態度を見せない、全くの二重人格者なので、そのことを奥さんから聞いた旦那さんは一様に、
驚いたそうです。

で、問題は、このような人をどう扱うかです。

結果は、「かかわらない」です。 自分からクラブに提案して、このようなことは排除しましょうとか、そういうアクションを起こした人はいないようです(私が当事者でしたら、必ずやアクションしていました)。 日本人の一般的反応として、ややこしいことにはかかわらない、巻き込まれたらめんどくさい、です。

こういう、些細な、我々をとりまく日常の、それこそ、多くのことに対して、行動する、その信条をもって、あぁ、これが民主主義に基づく行動だなぁと感じた時に、初めて民主主義とは何たるかが実感できるのではないでしょうか。

ところが、そういうわずらわしいことを全てスキップしてしまって、さぁ、投票日だけ民主主義に基づき選挙民の権利を行使しよう、といったところで、なんか実体がない虚無な言葉のように感じるわけです。

続きがあるのですが、それは次回のブログで。



【2011/08/03 12:09】 未分類 | トラックバック(0) |

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