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永峰潤ブログ
永峰・三島会計事務所、かなり不定期な所長のブログ。

「弁護士、会計士・・・・・いまや安泰と言えない国家資格」

前回、弁護士や会計士のような、所謂「知的職業」とされてきた、国家資格に守られた職業がいまや産業突然死予備軍の可能性があることを書きましたが、最近、おもしろい会社を発見したので、今回はそれをご紹介します。

アメリカに毎年50 most innovative companiesという会社を特集する雑誌がありますが、その中で今年選ばれた会社にLEGALZOOMがあります。

http://www.legalzoom.com/

この会社のサービスは、一般消費者向けに、会社設立、遺言状作成、離婚協定書、パテント文章作成等の、複雑でないが今まで弁護士の独占業務であった各種契約書等を驚くほど安価で代行するというものです。

米国では、個人が節税等を目的として個人会社を設立する場合に、最もポピュラーな会社はLLCなのですが、その設立をLEGALZOOMに依頼する場合、
①基本事項を所定の用紙に埋めて、インターネットでLEGALZOOMに送信する、
②LEGALZOOMでは設立書類を作成し州当局にファイリングする、
③承認された設立書類を依頼者に郵送する。
という流れで、WEB上では$99からとなっています。

ちなみに日本でLLCに対応する合同会社GK(ただし日本のGKは財務省の強い主張により、その最も重要な特徴である法人税の導菅性が確保されていませんが)を設立する場合の専門家報酬は10~30万円程度かかり、これ以外に印紙税代がかかります。

日本の報酬はさておいても、米国でもM&AやFORTUNE500をクライアントにするような大弁護士事務所は別とすると、数的には一番多い普通の弁護士事務所の収入内訳は、
①(上記のような)リスクがなく、大量にこなすことでペイする業務を事務所内のパラリーガル(=弁護士資格のない人たち)に振り、そこに弁護士ブランドをラべリングすることで高い報酬を請求する。
② それらの中から、あるいは別のルートで弁護士でなければできない複雑な業務をこなすというのが一般的です。
②の業務が常にあるとは限りませんから、①の業務をできるだけこなすことによって収入の安定化をはかることが事務所経営には不可欠のはずです。

このような、弁護士であるからこそ独占でき、しかもユーザーは物理的に自分の周りの弁護士にしかアクセスできない状況が、インターネットの普及とITの進展によってLEGALZOOMのような会社の誕生を招き、その結果として、大多数を占める弁護士及びそのプラクティスの「産業突然死」を導いてしまっています。

このような背景には、LEGALZOOMのような新規ビジネスに対してベンチャーから投資資金を集めやすいファイナンス環境が整っている必要があり、また、そもそもこういう「すき間」をついたビジネスをいつも考えているアントレプルナーの存在が不可欠です。LEGALZOOMの役員には弁護士よりも圧倒的にハーバードMBAが多いです。そして舞台裏はどうなっているかは明かしていませんが、役員の多くが中国系であることから類推すると、おそらく実際の事務は人件費の安い中国に振っているのではないでしょうか。

これはいい悪いの価値判断ではなく、もう、こういう事情が起きている、また、このような流れは我が国でも、いずれ波及せざるを得ないと思います。もっとも重要な観点、お客様がよりメリットを受けられたかという点で生き残るものはいいものなのだと思います。
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【2012/04/23 14:05】 未分類 | トラックバック(0) |

会計業界の「産業突然死」3

さて、このような会計・税務産業が何故、「産業突然死」の危機を迎えているかですが。その理由は一言で言うとアジアとITです。

勿論、国家が破綻しない限り、税務、会計ともその担い手は必要ですが、仕事の絶対量がこれまでの税理士・会計士の絶対数を養うだけのボリュームを維持することは無理だろうと思います。

ちなみに、上記の中で2番目のゾーンに入っている事務所の場合を説明してみます。

2番目のゾーンに入っている事務所の収入の柱は、どの事務所であっても記帳代行業務と申告業務であると思わます。 
この2つの業務ともに、現在、存亡の脅威にさらされています。脅威の中身はアジアとITです。アジアとは象徴的な意味で、その意図するところは、最近、親会社が会計記帳をERPシステムにより親会社で集中入力したり、シンガポールや大連などに設立したアジアオペレーションセンターで一括記帳する動きが加速化しつつあります。 

我が国特有の制度である消費税の処理や、領収書等は日本保管の必要がありますが、近い将来、更に人件費が安い、例えばインドやフィリピンに日本の税務会計に詳しい日本人オペレータを雇い、全てのデータをクラウド上で処理する等のShared Service Centerが生まれれば、コスト面で全く太刀打ちできず、記帳業務が根こそぎ奪われる可能性が十分あります。このような例は既にBIG4が米国人向け所得税申告書作成業務をインドに設立した自らの申告書作成会社に移管していることで現実化しています。 
つまりは、このような大量回帰的な記帳業務は、一種のコモデティ商品として、今までの鉛筆なめなめの世界から、一気にCenterを設立、資本力の勝負になることが予想されるわけです。

1番目のゾーンのビッグ4の会計士も、国の無責任な供給緩和のために大量失業時代が続いており、すでに会計士が、経済的に安定した職業であるとは言えない状況になっており、3番目の大多数の税理士に至っては、国内の経済縮小状況の直接的な影響を受けて、今までのような形態で職業を維持することは到底できないように思います。

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海の向こうの米国でも、すでに弁護士、それもロースクール出たての弁護士が就職できない事情は日常となっていて、最近は、卒業生が入学の際に大学が唱っていた法律事務所への高い就職率について虚偽があるとして、ロースクールを訴えるケースが大変多いそうです(CBSイブニングニュースから)。 理由はやはりIT化の進展により、法律事務所でそもそも弁護士の数がそれほど必要なくなった(パラリーガルで十分に対応可能)ことと、やはりアジアによるアウトソーシング化が大きいと説明されていました。

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いわゆる知的職業と言われてきた弁護士や会計士は、かつてのフォード自動車工場の職工が、日本企業の低廉な自動車によって職を失った如く、ITとアジア化によって、とりたてて特色のない、ただ国家資格をとっただけでは、もう「産業突然死」予備軍に入隊するしかなくなったのではないでしょうか。

【2012/04/09 09:55】 未分類 | トラックバック(0) |

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