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永峰潤ブログ
永峰・三島会計事務所、かなり不定期な所長のブログ。

スペイン危機2 

1) 経済危機以前およびバブル期
 スペインの驚異的経済成長はユーロ加盟に端を発しており、最近30年間の経済成長は2つのブームからなる。
これら2つのブームともにGDP年率2%上昇というヨーロッパでも特筆される上昇率であった。最初のブームは1986年~91年までの間に起きたもので発端は86年のEEC 加入である。それまではヨーロッパの中にありながら中世的な残影を色濃く残しているとも揶揄されたスペインは、EEC加入をきっかけに、それまでの関税の改正、資本財やサービスの流通障壁の撤廃等により株式市場や不動産価値の大幅な上昇を記録、巨額の外資がスペイン市場に流入した。
93年から94年に一旦ブームは終息するが、1994年~2007年に亘り第2回目のブームが起きた。これら継続的経済上昇の結果、スペインの一人当たりGDPは一時イタリアと比肩するほどになった。第2回目のブームはユーロ結成メンバーとして加盟国になったことが大きな原因である。ユーロに加入することで、それまでのスペイン単独の高い国債レートからユーロの信用度を裏付けにした低いレートでの国債発行が可能となり、その結果、国内に過剰流動性が発生した。この流動性は国内の消費や観光業(ホテル業や飲食業)、とりわけ不動産業に向かうことになった。この金融政策は当時のECB決定によるものでもある。
従来から輸入超過が顕著であり、国内に国際競争力のある産業を持たず、低スキル労働者の移民受入れで失業問題に悩まされていた当時(2000年)にあって、このような低い利率によってもたらされた過剰流動性は、一気にプライベートセクター(家計および企業部門)の負債を増やすことになった。その理由はブライベートセクターが不動産投資に向かいレバレージがかかったことと外需依存の産業構造を持っていなかったからである。ともあれ、建設部門は低スキル移民者の格好の雇用吸収先となった。
この不動産ブームはこの前後、実に14年の長きにわたるスペインの経済成長の原動力となったのである。

不動産ブームは、しかしながら負の側面として過去に例を見ない経常収支赤字をもたらすこととなった。不動産の投資対象は居住用住宅、購入者はスペイン国民のみならずドイツ人等外国人であり、購入物件は主としてスペイン南部の海岸線沿いのセカンドハウスであった。この結果、97年から07年の間に不動産価格は120%上昇した。この結果はさらなる経常収支の大幅な赤字、不動産部門のバブル、そして家計・企業部門の負債増大をもたらした。
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【2012/08/20 17:06】 未分類 | トラックバック(0) |

スペイン危機1

既に新聞経済面から社会面へも波及してきた感もある現今のユーロ危機とその中心にあるスペイン危機。 
今回、スペイン訪問で得られたスペイン危機に関する情報をここで共有したいと思います。

そもそもスペインの金融危機を簡単に説明すると、次のようになります。
「2007年の米国サブプライムローン破綻を引き金とした世界金融危機の影響を受け、それまでの不動産・建設ブームによるバブル状態にあったスペイン経済が一気に景気減速、外資の一斉引き上げによる経常収支の更なる赤字および不動産貸付の焦げ付きによる国内貯蓄銀行(カハ)の不良債権を政府が国有化したことで、政府財政が一挙に悪化した。
ギリシャ、イタリア等PIIGS諸国の財政悪化問題同様にスペイン経済の先行き不安に対する資本市場心理により、スペイン国債が国家破綻の分岐点と云われる国債利回り7%を超え(2012年8月6日で7.2%)、スペイン国家財政は破綻の瀬戸際にある危機状況にある。スペインの経済規模がユーロ第5位という規模のため、万一破綻した場合にはギリシャの比ではなく、ユーロ解体の可能性すら否定できない深刻な状況にある。
先行きは未だ不透明で、ドラギECB(ヨーロッパ中央銀行)総裁(ユーロ金融政策の最終決定者)とメルケルドイツ首相(ドイツ国民から更なるユーロ支援の了解が取りにくい)との政治的交渉により最終的な方向性が定まるとの市場の観測である。」

このことからは、複合的要因によって発生した迎えた我が国の失われた20年とは異なる様相を呈しているも、今後は不動産バブルがはじけたことによる、不動産価格の長期低落傾向が予測されることなど、我が国の経済状況と類推されることもあるようです。

次回以降で、スペイン経済危機の前史とバブルへ、バブル崩壊から危機へ、と2回に分けて説明します。

【2012/08/13 10:01】 未分類 | トラックバック(0) |

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