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永峰潤ブログ
永峰・三島会計事務所、かなり不定期な所長のブログ。

スペイン危機3

2) バブル崩壊から経済危機へ
 2007年のリーマンショックによる世界規模での金融機関倒産の波はスペインバブル経済にも直接的に影響を及ぼした。
外資による資金流入に依存していたスペインの金融システムは、外資の一斉引き上げにより機能不全となり、その結果、長らく続いていた不動産バブルが崩壊した。スペイン政府は、不動産融資に積極的に貸し込んだ結果、多額な不良債権を抱えることとなった貯蓄銀行の債権を肩代わりしたため、結果として政府債務が急増することになった。公的債務急増の事実は、折からのギリシャ、アイルランド、ポルトガルの再建策との連想で、国際資本市場においてイタリアとともに、公的債務への不信感や財政システムへの信頼欠如という、むしろ心理的要因に引っ張られて、さらなる金融危機状態を招いている。


3)現地を訪ねた印象
我々はそのような状況の真っただ中にある首都マドリード、観光都市バルセロナ、地方都市ビルバオを訪ねたのであるが、一言で感想を述べれば「表面上は全く平穏そのもの」であった。唯一バルセロナのみで大規模なデモが行われたが、それもデモ区域が予め届け出られ、デモの最中も警察によって完全にコントロールされている、およそ中国やアラブ諸国で突発的に発生するそれとは異質なものであった。我々のインタビューした人たちは皆それなりの職業についている人たちであり、彼らの感想のみで結論を述べることはできないが、最大公約数的な意見は「金融危機は銀行の問題。我々にとって切実な問題は失業である。」というものであった。確かにこの国の失業率は他のヨーロッパ諸国に比べても大変高い。平均20%、若年層に至っては50%を超える勢いであり、この数字だけからみると社会的騒乱が起きてもおかしくないレベルであろう(イギリスでの若年層を中心に起こったつい最近の大規模なデモを想起されたい)。我々もこの数字の高さに大変に興味を持ったが、その後のインタビューで分かったことは、およそ次のようなものであった。

 確かに若年層の失業率は異常な程の高率であるが、スペインは大家族制度の伝統があり、男女とも結婚するまでは家族と同居することが普通であるので、家族に失業者がいても皆で支えている。スペインもイタリア同様、アングラ経済が盛んであるため、
統計に載ってこない所得もそれなりにあるのだろう。大体のところ、このような2つの理由によって失業者数の増加が社会の沸点に至らないのではないかとの感触をえた。さらに付言するならば、この国の手厚い社会保障制度も高い若年失業者数を生み出す理由になっているのではないかと推察される。この国では一旦、従業員を雇用すると、事業主は簡単に従業員を解雇できないそうである。
そうなると、当然に事業者は雇用リスクを取ることに慎重にならざるを得ず、その結果が若年失業者の増大をもたらしている。
すなわち労働力の流動性が確保されていないがための事業主側からの防衛策が、若年失業者増大の要因ではないかというものである。

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【2012/09/03 08:59】 未分類 | トラックバック(0) |

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