日本でも四半期決算がいよいよ定着化していますが、そもそもアメリカで四半期決算が定着したのはいつかを調べてみると、実は案外最近なのですね。
ものの本によればアメリカで四半期決算が義務づけられたのは1990年代前半ですね。つまりご本家アメリカでも四半期決算を開始してからわずか15年程度の歴史です。そしてこの制度が導入された背景には、米国流資本主義の考え方の変遷と深い相関関係があるようです。
最近50年程度のオーダーで米国流資本主義が生み出した数々の発明を俯瞰した場合、現在に至るも大きな影響力をもつものひとつにストックオプション(SO)を挙げることについて異論はないと思います。
SOは一言で言うとそれまでの資本主義のDE FACTO STANDARDであった「所有と経営の分離」を終焉させ、「所有と経営の一致」をアメリカ経済にもたらした制度と言えるのでしょう。バーリーミーンズで名高い「所有と経営の分離」とは、それまで創業家が経営者であった株式会社制度が、重化学工業等に代表される、装置産業的な大規模外部資本を必要とする大組織株式会社化することにより、資本家と分離したプロ経営者を必要とし、それらプロ経営者はいわゆるfiduciaryという考え方に基づいて経営に専念する。すなわち所有と経営が分離していたわけです。このフレームワークがアメリカでも長らく維持されていたのですが、SOの導入によってプロ経営者にも自社株を渡すことになり、ここに経営者に資本家の立場として行動するインセンティブが生まれたことになります。
事実、1986年頃の米国のプロ経営者の給与は1億円程度でしたが、SOの導入により給与には変化ないものの、株式による現物給与を10〜100億円単位で受け取ることが普通の風潮となったようです。
このような制度が続き得たのは、一般大衆が株式投資に資金を振り向けるようになったことにあるようです。その内実は自分が投資している会社の株価が上がってくれるならば、CEOはそれなりに報酬を受けても(それなりな額とは言えませんが)当然であろうということだったと推察されます。
さらに言えば、この制度に狂騒して会計粉飾による株価吊り上げが多発し、その結果がエンロン、アーサーアンダーセンの破産、SOXの導入という流れになっているのでしょう。ただ、これら渦の中心にあったSO制度は依然として存在しています。制度の廃絶という考えもあったようですが、やはり人間、欲の前には弱いのですね。
で、四半期決算は、株価が会社業績と離れたところで、中長期予測や短期の利益から瞬時に決定される仕組みを支えるのに、大変都合がよろしいということで導入されたようです。そもそも会社の利益を3ヶ月ごとにモニターすることに(株価以外)どのような意味があるのか不明なのですが、いずれにしてもこうすることで常に株価と会社利益とが連動するような仕組みが完成したわけです。
こうすることで結局、何がうれしいのでしょうか。よくわかりません。
思えばつい最近のFX騒動のように、実体経済とマネー経済の逆転現象の萌芽はこのころから起こり始めていたのでしょうね。
こんなことを続けていると、地球全体がソドムの結末を迎えないかという(最近の地球温暖化による異常気象は一種の警鐘なのかも)、そこはかとない不安を持ってしまいます。
